私は高校の英語講師を2年間やっていました。受験英語というのは、入試で正解とされる英文法や英文読解のことで、文部科学省の「学習指導要領」に基づいた英語をもとに、問題と解答を作成しています。
受験英語と英会話の違い
改めて考えてみたら、“人と会話をする"ということには受験英語のように正解があるわけではなく、自分がいま話そうと思っている内容について伝える表現が1つに限定されることもないですよね。
例えば、中学校と高校の英語にも出てきますが、間接話法における「時制の一致」という分野があります。
James said to me, “Are you going home?”
(ジェームスは私に、「家に帰るの?」と言った)
これを間接話法という伝達文に書きかえるという問題がよく出されます。受験英語の正解は、
James asked me if I was going home.
(ジェームスは私に家に帰るのかとたずねた)
となります。ジェームスがたずねたのは過去の話なので、その内容を示す動詞も過去形にするというのが、受験英語で言うところの「時制の一致」です。
英会話での自然な表現
一方で、私がオンライン英会話のレッスンを受けてみたとき、文法のテキストの違いに驚きました。ネイティブ講師の先生はこちらの表現も自然な英語だと言っていました。
James asked me if I am going home.
(ジェームスは私に家に帰るのかとたずねた)
受験英語の「時制の一致」という観点で見るとこの答えは不正解となります。私は受験英語講師の経験から、「え?合ってるんですか?これ?」と聞き返してしまいましたが、これもOKなのだそうです。オンライン英会話スクールのテキストにも、こちらの表現が正しい英文法として掲載されていました。
文法的に正しい表現が自然とは限らない
受験英語で文法的に正しいはずの英語を話すと、ネイティブ講師の先生に「It’s a little tricky.(ちょっと微妙だな)」と言われることがあります。
テストで正解になる文法で話すよりも、英会話として自然かどうかということが大切ということでした。自然かどうかを判断するのはネイティブ講師の先生なので、受験英語と英会話はやっぱり別物として考えた方がいいんだなと思いました。